P-EQ - Program Equalizer
1950年代に開発されたラック型イコライザにインスパイアされた、ペダル型のイコライザです。低域および高域のカットおよびブーストにフォーカスしており、それぞれの適用周波数をスイッチで決められることから、「プログラムイコライザ」と呼んでいます。
低域のカットおよびブーストは指定した周波数以下を最大約12dBカット・ブーストできるシェルピングタイプのイコライザになっており、周波数は20/30/60/100Hzから選択できます。カットとブーストの周波数設定は連動しているため、同時に異なる周波数帯に対して適用することはできませんが、カットとブーストの周波数は絶妙にずれているため、両者を同時に適用することで単純なピーキングとは異なるカーブでのイコライジングが可能です。
高域のブーストは指定した周波数を中心に最大約12dBブーストできるピーキングタイプのイコライザで、周波数は1k/2k/3k/4k/5k/8k/10k/12k/16kから選択できます。また、カーブの鋭さを調整できるつまみも用意されています。
高域のカットは指定した周波数以上を最大約12dBカットできるシェルピングタイプのイコライザで、周波数は5k/10k/20kから選択できます。
イコライザ回路は抵抗とコンデンサ、コイル(インダクタ)のみで構成されるパッシブタイプのイコライザになっており、位相特性に優れています。イコライザ回路の前段にはオペアンプを使ったバッファが組み込まれています。また、後段には同じくオペアンプを使ったブースト回路が接続されており、出力音量を調整可能です。
説明書
写真
動作原理
コンデンサは高い周波数の信号を通しやすく、逆に低い周波数の信号は通しにくい、という性質を持つ素子です。また、インダクタは逆に低い周波数の信号を通しやすく、高い周波数の信号は通しにくい、という性質を持ちます。これらを組み合わせることで、特定の周波数帯以外の信号を減衰させる回路や、特定の周波数以上/以下の信号を減衰させる回路を構成できます。これらの周波数特性はコンデンサやインダクタの定数によって決定されるため、本機では異なる容量のコンデンサやインダクタを組み込み、スイッチで回路に接続するコンデンサやインダクタを切り替えることで、カット・ブーストする周波数を変更できるようになっています。
設定例
まず、VOLUMEを12時の方向に、LOW FREQは100Hz、HIGH FREQは1kHz、ATTEN FREQは5kに、他のツマミはすべて反時計回りに回しきった状態でエフェクトをONにします。
低域の調整
低域が多すぎる場合は上段のATTENツマミを、低域が不足している場合は上段のBOOSTツマミを時計回りに回していきます。また、中低域のカット/ブーストを減らしたい場合は、LOW FREQツマミを反時計回りに回して低域の周波数を切り替えていくと良いでしょう。
なお、上段のATTENツマミとBOOSTツマミは、微妙にイコライザーのカーブが異なっているため、同時に利用することで低域の一部をカットして一部をブーストする、ということも可能です。試行錯誤してみることをおすすめします。
高域のカット
高域が多すぎる場合は下段のATTENツマミを時計回りに回していきます。また、中高域のカットを減らしたい場合はATTEN FREQスイッチを10k、20kに切り替えてみてください。
高域のブースト
1kHz~16kHzの特定の周波数帯をブーストしたい場合は、HIGH FREQツマミでブーストしたい周波数を選択したうえで、下段のBOOSTツマミを時計回りに回していきます。またWIDTHつまみを時計回りに回すと、選択した周波数付近をより大きく持ち上げるような効果が得られます。
端子・ボタンの解説
①出力端子
一般的な6.3mmフォーンジャック(モノラル)です。
②電源入力端子
ストンプボックスで一般的に使用されている、2.1mm/センターマイナス型の端子を備えた9V ACアダプタを使用できます。
③入力端子
一般的な6.3mmフォーンジャック(モノラル)です。電源が供給されている状態でここにプラグを接続すると電源がONになります。
④ATTEN(LOW)
低域のカット量を調整するツマミです。反時計回りに回しきった状態ではカット量は0になります。時計回りに回しきった場合は、LOW FREQスイッチで指定した周波数以下をおよそ-12dBカットします。
⑤BOOST(LOW)
低域のブースト量を調整するツマミです。反時計回りに回しきった状態ではブースト量は0になります。時計回りに回しきった場合は、LOW FREQスイッチで指定した周波数以下をおよそ+12dBブーストします。
⑥LOW FREQ
低域カット・ブーストの対象周波数を指定するロータリースイッチです。20/30/60/100Hzから選択できます。
⑦VOLUME
出力音量を調整するツマミです。
⑧POWER LED
エフェクトがONになっている場合に点灯します。
⑨HIGH FREQ
高域ブーストの対象周波数を指定するロータリースイッチです。1k/2k/3k/4k/5k/8k/10k/12k/16kから選択できます。
⑩BOOST(HIGH)
高域のブースト量を調整するツマミです。時計回りに回しきった場合はブースト量は0になります。最大ブースト量はWIDTHツマミの設定によっても変化しますが、WIDTHツマミと本ツマミをともに時計回りに回しきった状態では、HIGH FREQスイッチで指定した周波数付近をおよそ+12dBブーストします。
⑪WIDTH(HIGH)
高域ブーストのカーブを調整するツマミです。時計回りに回すほどピークが鋭くなり、HIGH FREQスイッチで指定した周波数に近い周波数帯をより大きくブーストします。
⑫ATTEN(HIGH)
高域のカット量を調整するツマミです。反時計回りに回しきった状態ではカット量は0になります。時計回りに回しきった場合は、ATTEN FREQスイッチで指定した周波数以上をおよそ-12dBカットします。
⑬ATTEN FREQ
高域カットの大勝周波数を指定するトグルスイッチです。5k/10k/20kHzから選択できます。
⑭ON/OFF切り替えスイッチ
エフェクトのON/OFFを切り替えるスイッチです。OFF時にはIN端子とOUT端子が直接接続された状態になるトゥルーバイパス構造です。
使用上のご注意
- 本機はDC9V入力端子に電力が入力され、かつ入力端子にフォーンプラグが接続されると電源がONになります。ポップノイズ等を防ぐため出力端子は最後に接続してください。
- DC9V出力/センターマイナスの適切なACアダプタをご使用ください。
- ACアダプタの電圧は厳密にDC9Vである必要はありませんが、約7Vより低い場合正常に動作しない可能性があります。また、9Vを大幅に超える電圧を入力した場合の動作は保証しておりません。特に約19Vを超えると内部素子が破損する可能性がありますのでご注ください。
仕様
- 入力端子:6.3mmフォーンジャック(TS)×1
- 出力端子:6.3mmフォーンジャック(TS)×1
- 電源入力端子:内径2.1mm/外形5.5mm、センターマイナス
- 対応入力電圧:約9V
- 消費電力:約4.6mA
- 本体サイズ:約66×39.5×122(W×H×D、突起部を除く)
オペアンプについて
本機はオペアンプを交換できる構造になっており、使用しているオペアンプを別の種類のものにノイズ低減などの音質変化が得られるかもしれません。